父との再開5

ヤマブシは、衰弱しきった体をわずかに動かし、ハルとLを見上げた。

「もう……俺を死なせてくれ……息子たちを裏切るようなことをしてしまった俺には、もう生きる資格なんてない……」

その言葉に、ハルは顔をゆがめ、拳を震わせた。

「ふざけンな……死んだだけで償えるとでも思ってンのかよ……」

ヤマブシの目をまっすぐに見つめながら、ハルは言葉を続けた。

「俺はずっと……何年もおまえの背中を追ってたんだ……おまえの強さに憧れて、俺もタイムパトローラーになったんだぜ。おまえの存在が、俺の人生にどれだけ影響を与えたか……死んで終わりにするなんて、そんな簡単なことじゃねェだろうが……」

Lも涙ぐみながら、父親の手をそっと握りしめた。

「父さん……天国の母さんはきっと、父さんにそんなこと望んでないと思うよ。もう一度、家族として一緒に生きてほしいって、絶対に思ってる……俺だってそう思ってるよ……」

ザマスも静かに歩み寄れば、冷静な声で言葉を紡いだ。

「家族というものが神には理解しがたいものだとしても……その絆というものが大きな力を生み出すものであるならば、貴様には生きる価値がある。」

ヤマブシの目からは涙の筋が何度も流れた。

「……おまえたち……俺を……許してくれるか……?」

ハルとLは、ヤマブシの問いかけに静かに頷いた。二人が頷く姿を見たヤマブシの胸に、何かがじんわりと広がっていく。それは、長年感じることのなかった安堵と、再び父親としての自覚を取り戻した瞬間の重さだった。彼は一度深く息を吸い込み、目を閉じた。エノハナとの思い出が脳裏をよぎる。彼女が見守る中で、息子たちがこんなにも立派に育ったのだ。ヤマブシの心に、彼女の微笑みが浮かぶ。

「二人して、優しいヤツに育ったのは……エノハナの影響だな……」と、ヤマブシは言葉を紡いだ。その声には、自嘲も含まれていたが、何よりも誇りがにじみ出ていた。彼は微かに苦笑しながらも、これまでのすべてを思い返していた。

自分がどれだけの過ちを犯したのか……自我を取り戻した今となっては信じられないような罪を犯してしまったと思う。それでも息子たちが自分を救ってくれたことに感謝していた。

ヤマブシは次にザマスへ視線を移し、心からの謝罪を述べた。「親子そろって迷惑かけて、すまなかったな……」

ザマスは腕を組み、少しの間沈黙したが、やがてそっけない言葉を返した。

「まったく、世話のかかる家族だ……」

彼は静かに背を向け、歩みを進めた。だが、僅かに笑みがこぼれていた。

ヤマブシは息子たちとザマスの言葉に、胸の奥から沸き上がる誇りを感じていた。再び父親として、息子たちを見守り、共に歩んでいく覚悟を取り戻したのだ。

ヤマブシは息子たちの顔を改めて見つめた。彼らの眼差しには、信頼と愛情が溢れていた。それは、ヤマブシがかつて失いかけた家族の絆そのものだった。彼の胸に、父親としての誇りが再び灯ったのだ。

「俺は……おまえたちの父親として、誇りに思うよ……」と、力強く宣言した。その言葉には、これからの未来に向けた決意と、家族として再び歩んでいく覚悟が詰まっていた。

そして、ハルが差し出した仙豆を受け取り、それを口にすることで、彼の体は瞬く間に回復していった。それを見たハルとLの顔に安堵の表情が広がった。Lは真っ先に父親を力強く抱きしめた。

「父さん、本当に良かった……!」Lは嬉しさを隠せずにヤマブシにしがみつく。

ヤマブシも、そんな息子の様子に微笑みを浮かべ、Lの背中をそっと叩いた。「心配かけたな、L……」

その隣でハルも、肩の力を抜き、ほっとした表情で父と弟の姿を見守っていた。そして、ふとその瞳に決意の色を宿し、言葉を発した。

「さて、目標ができたな。親父を洗脳したクソ野郎をぶっ飛ばさねェと」ハルの声には、明確な敵意と強い意志が込められていた。

それを聞いたヤマブシは、すぐさま冷静に突っ込みを入れた。「その前に、まずは力をつけねぇと。Lもしっかり、修行しろよ」

Lは、父親の真面目な言葉に一瞬頬を膨らませ、抗議するように声を上げた。「えぇ~、せっかく家族揃ったんだからさ、もっとお話とかしようよ~!!」

倒すべき敵がまだ存在する──それは確かだ。しかし、ヤマブシを取り戻し、家族として再び一つになった彼らは、これまで以上に強い力を手にしていた。ハルとLは、父親と共に新たな戦いに立ち向かう決意を胸に秘め、物語の次なる幕開けを待つのだった。

時の追憶

ゼノバース2で作成したオリキャラ(ハル/L/ランファ/こなつ)に関する短編小説を載せていきます。

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