父との再開4
エハルは一瞬の躊躇もなく、ヤマブシに向かって突進した。二人の拳が激しくぶつかり合い、その衝撃で周囲の地形が変わるほどの破壊力を見せつけた。岩が砕け、地面が割れる。彼らの戦闘は激しさを増し、息をつく間もなく続いていく。
ザマスはその戦いを少し離れた場所から静かに見つめていた。エハルの戦闘力は彼の予想をはるかに超えていた。「エハル……お前たちがここまでの力を持つとは……」彼の心の中で、その力を認めざるを得なかった。
エハルとヤマブシの激闘は続き、一瞬の油断も許されない状況が続いていた。しかし、エハルはその戦いの中で、確実に力を発揮していた。ヤマブシもまた全力を尽くし、互角の戦いが繰り広げられていた。
エハルはその手に刃のようなオーラを纏わせ、バチバチと電気のようなエフェクトが空気を震わせていた。彼の周囲には鋭い緊張感が漂い、まるで空気そのものが切り裂かれるかのように感じられる。オーラの輝きが周囲を照らし、エハルの全身から放たれる力が視覚的に明確に感じ取れた。
対するヤマブシもまた、自身の手に刃のようなオーラを纏わせた。そのオーラは暗く、禍々しいエネルギーを含んでおり、まるで地獄から湧き出たかのような異質さがあった。両者の刃がぶつかり合うと、鋭い音が周囲に響き、空気を切り裂くような激しい衝突が続いた。
空間が震える中、二人の力は拮抗し、一瞬の静寂すら許されないほどの緊張感が場を支配していた。その間、二人は言葉を交わした。
ヤマブシは激しい怒りを込めて叫ぶ。「この俺に、反抗する気か!!」
エハルはその言葉を嘲笑うかのように、冷静に答えた。『遅めの反抗期だ、クソ親父!!』
その瞬間、エハルの力がヤマブシを上回り、彼の刃はヤマブシの防御を突き破った。エハルの会心の一撃がヤマブシに深く突き刺さり、ヤマブシは呻き声を上げながら地面に倒れた。ヤマブシの身体から禍々しいオーラが消え、彼を縛っていた洗脳の力が完全に解けたのが見て取れた。
ヤマブシは息も絶え絶えに横たわり、彼の目に浮かぶのはかつての彼自身の意識が戻ったかのような痛みと後悔の表情だった。
力を使いすぎたエハルは、眩い光とともに分裂し、ハルとLに戻った。彼らは疲労困憊しながらも、ヤマブシのもとへ駆け寄る。ヤマブシの体から禍々しいオーラが消えていた。ハルとLは、それを見て洗脳が解けたのだと確信する。しかし、同時に父親の命が今にも消え入りそうであることも感じ取った。
Lは息を切らしながら、父の顔を覗き込む。
「父さん……」
ヤマブシのまぶたがゆっくりと持ち上がり、微かな声が口から漏れた。
「まさか……俺の暴走を、おまえ達が止めてくれるなんてな……」
その目には、涙が光っていた。
「これで……天国で待ってくれてるエノハナに、最高の土産話ができるぜ……」
ハルは必死に声をかける。
「待ってくれ、親父……おまえは洗脳されていたんだ……本当の気持ちを話してくれないか。俺たちのことをやっぱり……恨んでいるのか……」
ヤマブシは痛みに顔を歪めつつも、悲しそうに笑った。
「おまえたちのことは……ずっと俺の誇りだった…これからのこの世界で、たくさん活躍してくれるんだなって……安心さえ感じた……おまえたちは誇りの息子達さ……」
ハルは眉をひそめ、問いただすように言葉を続けた。
「ならば、なぜ洗脳されてるときは、あんなことを……」
ヤマブシは薄れゆく意識の中で答える。
「あるヤツにそそのかされたんだ。ハルとLを倒せば、彼らが生まれてこなかったことになり、エノハナが生きているという世界ができるかもしれないと、言われたんだ……」
その言葉には、深い後悔と悲しみが滲んでいた。
「息子の愛よりも、愛した女をもう一度だけ抱きしめたかっただけに…洗脳にかかっちまったみたいだ……ひどい、親だろう……?」
ハルとLはその言葉に、心の奥で揺れる複雑な感情を抱えたまま、ヤマブシの顔をじっと見つめた。
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