父との再開1
空気が重たく、肌にまとわりつくような不気味な気配が周囲に漂い始めた。ハルは異常な空間の変化を感じ取っていた。木々のざわめきが不自然に止まり、空の色が薄暗く染まり始める。それはまるで、世界そのものが何か異常な出来事の前触れを警告しているかのようだった。
「何だ……この感じ……」ハルは眉をひそめ、周囲を警戒するように見渡した。空気が変わり始めた瞬間から、何かがおかしいと直感で感じていた。
足元の砂利がかすかに揺れ、遠くから聞こえるはずのない音が耳に届く。歪む景色の中で、突然、空間が一部裂けた。時空の切れ目がゆっくりと形成され、そこから異次元の風が吹き込んでくる。
その切れ目から現れたのは、仮面を被った男の影。ハルはその姿に目を細め、拳を強く握りしめた。見知らぬ相手ではあるが、その気は尋常ではない。まるで、内に秘めた力が暴走しているかのようだった。
「……誰だ、お前……」ハルは低く構えながら問いかけたが、返事はなかった。男はただ静かに立ち、何も言わずにこちらを見下ろしているようだった。
次第にその気配から感じ取れるものは、明確な敵意だった。ハルは冷たく目を細め、決意を固めた。
「いいだろう。お前が喋らないなら、それが答えだ。」ハルは低く唸り、地面を蹴った。「その力と気配、どう見ても味方じゃないってのは分かるぜ。お前からは殺意しか感じられねェからよ」
ハルは躊躇なく男に向かって突進した。
「先手必勝ってな!!」
ハルは声を上げ、潜在能力を解放し、目の前の仮面の男に向かって猛然と突進した。拳を握り締め、その一撃に全力を込めて放つ。しかし、仮面の男は寸前でその拳を受け止めた。衝撃で地面がひび割れ、周囲の木々が揺れる。
「くっ……!」ハルは力を込めて拳を押し進めようとしたが、男は微動だにしなかった。
「なんて力だ……!」ハルは驚きと共に後方へ跳び退り、距離を取った。彼の瞳は警戒心でいっぱいだった。
仮面の男は無言のまま、ハルを見据えていた。何の感情も読み取れない。ただ冷たい殺意だけが漂っている。
ハルは再び身構える。「くそ……もっと力を引き出すしかねェか…!!」体の中でエネルギーをさらに高め、超サイヤ人ブルーとなり、青白いオーラが強く燃え上がった。
しかし仮面の男が一瞬の隙を見逃さずに攻撃を仕掛けてくる。彼の拳がハルの腹部を突き、衝撃でハルの体が宙に浮く。そのまま地面に叩きつけられ、砂煙が舞い上がった。
「うっ……!」ハルは苦痛に顔を歪めながらも、すぐに立ち上がった。しかし、仮面の男の動きは止まらない。彼の体が次の瞬間にはハルの眼前に迫っていた。
「速い……!ブルーになったってのに、ちっとも追い付かねェ……!!」
次々と繰り出される仮面の男の攻撃を、ハルは必死にかわしながらも何発か受けてしまう。拳と脚が容赦なくハルの体を襲い、ダメージは次第に積み重なっていった。
ハルは歯を食いしばり、反撃の機会を窺った。だが、仮面の男の攻撃は隙を与えないほど正確で、激しかった。
ついに、ハルのガードが崩れ、一撃をまともに受けてしまった。その衝撃で彼の体が再び宙に舞い、地面に叩きつけられる。
地面に横たわったまま、ハルは荒い息を吐きながら体を起こそうとした。
「まだ…終わってねェ……!!」
しかし、体は重く、思うように動かない。
全身が痛みで悲鳴を上げ、呼吸は浅く、苦しい。超サイヤ人ブルーの力を発揮しても、仮面の男には到底及ばないと感じていた。
それでもハルは拳を握り締め、何とか立ち上がろうとする。だ、膝が震えて力が入らない。視界がぼやけ、血の味が口の中に広がった。
仮面の男は一歩ずつ近づいてきた。その姿はハルにとって、避けられない死神のように見えた。
ハルは自分を奮い立たせようとしたが、全身の力が抜け落ちていくのを感じた。彼は息も絶え絶えに地面に伏し、ただ目の前の敵を見つめることしかできなかった。
もう……これ以上、戦えないのか……? そう思いながら、ハルの意識が薄れかけていく。その時、仮面の男は再び刃のようなオーラを手に纏わせ、ハルにとどめを刺そうとした。
0コメント